お役立ち情報

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これからの法改正の動き

骨太の方針2024で示された下請法執行強化と見直し

ことし6月21日、経済財政諮問会議での答申を経て、『経済財政運営と改革の基本方針2024〜賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現〜』(骨太方針2024)が閣議決定されました。
経済新生への道行きとして、短期的にはデフレからの完全脱却と成長型の新たな経済ステージへの移行、中長期的には少子高齢化・人口減少の克服、豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会の実現を目指し、以下の5つのAction とVisionを打ち出しています。

5つのAction

(1)物価上昇を上回る賃上げの定着
(2)構造的価格転嫁の実現
(3)成長分野への戦略的な投資
(4)スタートアップネットワークの形成
(5)新技術の徹底した社会実装

5つのVision

(1)社会課題解決をエンジンとした生産性向上と成長機会の拡大
(2)誰もが活躍できるWell-beingが高い社会の実現
(3)経済・財政・社会保障の持続可能性の確保
(4)地域ごとの特性・成長資源を活かした持続可能な地域社会の形成
(5)海外の成長市場との連結性向上とエネルギー構造転換

法令の執行強化と改正

5つのAction の(2)にも挙げられ、賃上げの原資ともなり得るため注目されるのが、構造的価格転嫁の実現です。
骨太方針2024の「政策ファイル」では、中小企業の賃上げのために、サプライチェーン全体で適正な価格転嫁と製品・サービス価格の設定が行なわれる商慣行を定着させ、中小企業の賃上げの原資を確保することが重要であるとしています。
そのために、独占禁止法の執行強化、下請Gメン等を活用しつつ事業所管省庁と連携した下請法の執行強化、下請法改正の検討等を行なうとしています。

「下請事業者」の名称を変更?

自民党の中小企業・小規模事業者政策調査会と競争政策調査会が岸田文雄首相に申し入れた提言では、下請法に関するもう一段の取組みとして、次の項目が示されています。

・ 事業所管省庁とも連携した下請法の執行強化・面的な執行
・「 下請」という用語について、「下請事業者」に代わる用語の検討
・買いたたき規制の見直し
・ 約束手形による支払いの見直し(約束手形による支払いを認めない方向での検討)
・ 物流の「2024年問題」への対応として、発荷主と物流事業者との間の取引についても下請法の対象とすることの検討

今後、法改正に向けた議論が進むことが予想されます。

注目したい法改正の動向

  • 貿易実務のデジタル化
  • 貿易実務の負担を軽減するために、船荷証券の電子化に向けての議論が進んでいます。貿易手続デジタル化に向けたアクションプラン工程表では、法制審議会部会における調査・審議を経て2025年度中に改正商法の法案提出、2027年度中に施行というスケジュールが示されています。
  • 再審制度の再検討
  • 「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」による再審制度の改正を求める要望書の提出を受け、小泉龍司法務大臣は「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」の審議経過を把握するなかで、様々な観点から注視し検討していきたいと述べています。
  • 防災気象情報の再構築
  • 防災気象情報に関する検討会が、「防災気象情報の体系整理と最適な活用に向けて」の最終取りまとめを公表しました。
    「洪水」「大雨浸水」など4種別の災害の危険度を5段階で示す体系に再編し、必要な法改正を経て2026年の運用開始を目指すとしています。
  • 選択的夫婦別姓制度に追い風?
  • 議論がなかなか進まない選択的夫婦別姓制度の導入について、産業界から要望が出てきています。日本経済団体連合会は「選択肢のある社会の実現を目指して〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜」という提言をまとめ、政府に一刻も早い改正法案の提出と議論の活発化を促しました。

出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック